コウノドリ第2話では【子宮頚部腺がん】がテーマに取り上げられるようです。予告編で、妊娠19週の妊婦が子宮頸部腺がんの細胞が出ている、子宮摘出の必要がある、などと告知されていました。何も知らずにママと出会える日を楽しみにお腹ですくすく成長している赤ちゃんがいるまま子宮を取ってしまわなくてはならない・・・なんとむごい通告なのでしょう。。そして遅かれ早かれ子宮摘出しなければならないということは今後もう2度と妊娠することはできないということです。いまお腹にいるのは自分が出会えた最初で最後のたったひとりの赤ちゃん、ならばなおさらどうしても産みたい、当然そう思いますよね。。このお母さんと赤ちゃんがどうなってしまうのか今からドキドキハラハラですが、ドラマを見る前にこの病気についてちょっと勉強したいと思います。
子宮頚部腺がん?
【子宮頸がん】であれば耳にしたことがある病名ですが、【子宮頚部腺がん】とはどういう病気なのでしょうか?
子宮頸がんの中には大きく、扁平上皮がんと腺がんのふたつの分類があって、扁平上皮がんというのは子宮頸部のうちの下の方(膣側に近い方)にできるがんのこと、 腺がんというのは子宮頸部のうちの上の方(子宮体部、赤ちゃんが育つ子宮腔に近い方)にできるがんのことです。
子宮頸がんの原因
まず子宮頸がんはヒトパピローマウイルス(HPV)の感染が原因とされ、性交渉により感染します。ヒトパピローマウイルスはどこにでも存在するウイルスで、性交渉の経験のある人であればだれでも1度は感染したことがあると言われるほどに珍しいものではありません。たとえ感染しても風邪のウイルス同様、ほとんどの場合が免疫力によって自然治癒するとされています。
子宮頸がんと前段階【異形成】の段階と進行速度について
ところが免疫力が弱い状態が半年以上続くなど、このウイルスが長期常在してしまうなどの理由により、【異形成】というがんの前段階(将来がんになる可能性がある状態。異形成の中にも段階がある。Ⅰ、Ⅱ、Ⅲa、Ⅲb、Ⅳ、Ⅴ)を経て子宮頸がんに進んでいきます。進むと言ってもこの異形成の段階の進行速度は3~10年ととてもゆっくりなのが特徴らしく、しかも一度感染したら必ずしも進んでいくということではなく、上記の通り免疫力により段階が戻るケースも多くあります。
わたしも実はⅢa(中等度異形成)までいったことがありました。もともと昔から【びらん】(子宮口の部分がただれている状態)が指摘されており、子宮頸がんの検査ではⅡの結果が出ることは多かったのですが、Ⅲaに進んでしまったことが一度だけあり細胞診と子宮体がんの検査も受けたりもしました。その後経過観察で半年後の検査ではⅡに戻り、そういえばここ数年は【びらん】が指摘されることについては変わらずなのですが、Ⅰ(正常)の結果も出ています。もしかしたらこれもレバコールで免疫力が上がったおかげなのかもしれません。
進行の速度についてですが、上記の通り異形成の段階ではとてもゆっくりで逆行したりもするのですが、Ⅲbの高度異形成の段階まで行ってしまうとその速度は早まり、一度がんが発症すればそこから一気に1年以内に末期にまで進むケースも少なくないそうなので受ける経過観察の検査期間については段階によって医師より指示される期間を守って必ず受けるようにしましょう。
子宮頸がんの治療
高度異形成の段階や子宮頸がんの初期の場合は、子宮頸部にある異常が認められる細胞組織を円錐状に取り除く手術が一般的で、手術内容はレーザーや電気メスで切りとる方法、一般的に2泊3日の入院で手術時間は15分程度だそう。手術後の妊娠出産も可能です。入院期間や手術時間についてはわたしの受けた子宮鏡下内膜ポリープ摘出術のようなイメージですね。
子宮頸がんのうちの【腺がん】の深刻性
一般的に子宮頸がんと言われるものの多くが【扁平上皮がん】で、残り25%が【腺がん】と言われています。
腺がんは上記の通り、子宮頸部の上の方の部分にできるがんで、扁平上皮がんと同様ヒトパピローマウイルスが原因と言われながらもそれ以外の理由も考えられているそうです。詳しいことはまだよく解明されていないようですが、言われてみれば個人的に思ったのは、性交渉で感染するウイルスなのであれば膣から入ってくるはずなのに子宮頸部の下の部分(扁平上皮がんができる部分)には感染がなくて子宮頸部の上の部分(腺がんができる部分)にだけ感染してがんができるというのも不思議と言えば不思議です。
腺がんは扁平上皮癌に比べて深刻です。理由は腺がんは子宮頸部の奥にできるので細胞診でも細胞が採りにくく、またがん細胞の形も正常細胞とよく似ているものもあり見つかった時にはすでにかなり進行しているケースが多く悪性度が高いということ、早期から周りの臓器への転移が起こりやすいということ、また見つかったとしても放射線治療や化学療法が効きにくいということがあげられます。
転移の仕方
転移についてはリンパや血液の流れに乗ってしまう転移(リンパ行性転移、血行性転移)や、がん細胞の表面から細胞がまき散らされるように起こる転移(播種性転移)があるそうです。まき散らされる、、そんな転移の仕方があるんですね。。恐ろしい。。
自覚症状、健診について
症状が進行するまでの間、痛みなどの自覚症状はほとんどなく、振り返ってみれば不正出血や水っぽいおりものが多かったと言われる方が多いそうなので、1回の健診でもし異常がみつからなかったとしても、これらの症状が思い当たる場合はもう一度別の病院で健診を受けるようにしましょう。
コウノドリ第2話の想定、妊娠中に子宮頸部腺がんと診断されたら
扁平上皮がんであれば妊娠中だったとしても上記の通り子宮頸部の錐切除術を行えます。そうはいっても子宮頸部は子宮から赤ちゃんが降りてしまうことのないよう陣痛が始まるまではきつく閉じている必要がある部分なのでそこを一部切除しまうことは早産や流産の可能性も高まります。よって妊娠中に手術する場合は切除箇所も必要最小限とされ、場合によっては子宮頸管を糸で締める手術で早産・流産を防ぎながら、切除された部分の組織検査で程度が浅いとされた場合は一般的にそのまま出産までのあいだ経過観察となります。そして出産後に本格的な治療に入ります。
一方、がんの程度に深刻性が認められる場合はその度合いによって対処が変わってきますが、万が一ステージがⅠa2期以上になってしまうとリンパ節などへの転移の可能性もでてくるので基本的には妊娠中であっても子宮摘出を含めた手術が必要となります。コウノドリ第2話で子宮摘出を通告されるお母さんは子宮に近い方の腺がんのようですし、がんの位置もさながら進行度合いもこのⅠa2期以上のステージという設定なのかもしれません。
まれに特殊治療として、子宮摘出を保留し赤ちゃんをそのまま子宮に残しながら母体への抗癌剤治療を行い、赤ちゃんがもう生まれても大丈夫な大きさまで成長するのを待って帝王切開、さらに子宮頸がんの手術を行う方法もあるようですがあまり例が多くなくまだ安全性が確立している方法とはされていないようです。
コウノドリの鴻鳥サクラ先生はいつもの決まり文句「赤ちゃんもお母さんも助けるよー!」でこの方法で助けてくれるのでしょうか、どのような治療の展開になるのか、いい結果を期待して楽しみに待ちましょう!
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