昨日のコウノドリ第3話のテーマは産後うつについても取り上げられていました。そして以前の記事で書きましたが今回もわたしは高橋メアリージュンさんの演技力に圧倒され、また自分の産後うつだったかもしれない状況がよみがえってきて涙が止まりませんでした。
産後うつとは?
そもそも一般的なうつ病についてですが、最近の研究で、あるホルモンと密接に関係していることが明らかになっているそうですがホルモンのバランスが激しく乱れる妊娠・出産後は情緒不安定、憂鬱や不安に陥りやすく特にうつ病を発症しやすい状況と言えます。この産後の時期に発症するうつ症状を産後うつと呼びます。
発症する時期
一般的に産後2~3週間後に始まり、数ヶ月から1年ほど続くとされています。里帰り出産をした方は里帰りを終えて自宅に戻った時に突然負担が重くなることから多少時期がずれて発症することもあります。
産後うつにかかりやすい人の傾向
完璧主義、キャリアウーマン、まじめで抱え込みやすい性格の人がなりやすいと言われています。
症状
〇笑うことが減った
〇気力・食欲がなくなる
〇興味を持っていたものに興味を失う
〇涙もろい、怒りっぽい、イライラする
〇眠れない
〇育児が負担でどうしようもない
〇なにもかもが不安
〇子供がかわいいと思えない
〇自分はダメな母親なのではないかと悩む
〇子供や自分のこの先の将来が異常に不安
〇自信がない
このような項目をチェックしていくつかあてはまるようであれば症状が重くなる前に早めの対応が必要です。
症状が重くなったらどうなってしまうのか
自分や子供を傷つけたり、自分や子供がこの世からいなくなってしまうことで解決するのではないかと考えてしまうようになります。
また幼児期に充分な愛情や世話を受けずに育ってしまうと子供の心の成長や発達にさまざまな問題が出てきてしまいます。
そうなってしまうのは母親本人の中に悪の心があるからではありません、これは病気なのです。近頃、母親によって子供を亡くしてしまったりとか、幼児虐待のニュースに胸を痛めることがたびたびありますがこれも母親の産後うつや育児ノイローゼが原因である可能性があります。
対応
まわりの家族はうまれた赤ちゃんの心配だけではなく、母親の様子にも目を配り、少しでも症状がみられた場合は決して母親を責めることはせず、まずは育児の分担を見直す、話を聞いてあげる、赤ちゃんと離れる時間を作ってあげる、同じ悩みを抱えるママさんたちの集いに参加を促す・一緒に参加してみる、カウンセリングが受けられる役所の相談所や病院へ行くよう促す・連れていく、などの協力が必要です。
治療
充分な休養を取ること、そして精神科、心療内科にて症状が重いと判断される場合は薬を処方されます。
育児については旦那さんやご両親その他家族に協力を依頼する、育児や家事や介護を請け負っているところに頼るなどの方法もあります。
わたしの産後うつの振り返り
まず産後2~3日の頃、まわりが経産婦さんだらけの産院の授乳室でわたしひとり母乳がいつまでも出ず、助産師さんたちから特別目をかけられているのを感じ自分を母乳劣等生と位置付けてしまいました。仲間だったはずの初産婦さんたちも経産婦さんたちから一歩遅れるも初乳と言われる真っ黄色の母乳を哺乳瓶に絞り貯めているのを見て、自分が一番出遅れてしまったことに焦る気持ちが抑えきれず助産師さんや産後ママさんたちの大勢いる授乳室で突然しゃくりあげて号泣してしまいました。
すると突然あるひとりの助産師さんから
「この状態が1か月続くようなら精神科を受診した方がいい」
と言われてしまったんです。
自分が産後うつを疑われれていることを知りハッとしました。精神科?精神病なのわたし?そんなはずはない、変なことを言うのはやめてほしいと思いました。
ちょっと話がずれてしまいますが、いつも冷たいおしりふきをお尻に当てられるのが嫌で毎回必ずものすごく大きな声で泣き叫んでいた子供が、わたしがしゃくりあげて泣きながらおむつ替えをしたこの時だけまったく泣かなかったのです。わたしは子供と目を合わせるのが気が引けたので目を伏せて泣きじゃくりながらおむつを脱がせ、またこれでお尻を拭いたとたんに泣き叫ぶんだろうなと思って冷たいおしりふきでお尻を拭いたのにいつもの泣き声があがらないので、アレ?と思って子供の顔を見ると、生後3日か4日目の赤ん坊がです、目をぱっちり見開いてわたしの目を心配そうに見て窺っていたんです。
よく新生児は生後2~3ヶ月くらいまで目は見えていないと聞きますが、わたしはそれは違うと確信しました。子供によって見える時期が違うのかもしれませんがうちの子の場合は確実に生後3~4日でわたしの目の位置を、そして目の中の表情を認識していました。
わたしがマズイものを見られたという気持ちでハッとして子供の目を見返すと、今度は子供の方が目を合わせてしまってまずかったかなという表情でパッと目を逸らしたんです。
母を失ってすぐにこの子を授かり母の生まれ変わりかと思ったりもしていたので、子供の姿に生まれ変わった母がわたしを心配している、と思うほどにそれはまるで大人同士の気遣い同様でした。
こんな生後3~4日の赤ん坊に心配させてしまうなんて、そんなわけにはいかない、わたしは精神病なんかじゃない、そう言い聞かせて助産師さんの言葉を心の中で突き放しました。
でも産後1~2か月後くらいだったでしょうか、まっくらな真夜中の授乳中にひとり泣きじゃくることが増えました。母を思って、母がいたらどんなに頼りにできただろうかとか、母はこんな風にわたしを育ててくれたんだなとか、母がいたらこの可愛い孫を見てどれだけ喜んでくれただろうと思ってのことが多かったので産後うつとは思っていなかったのですが本当によくひとりで泣きました。
そしてそのまた2か月後くらいには、この子をわたしはちゃんと育てることができるのだろうか、ひとりの人間の人生に寄り添う責任の重さがのしかかってきて、この小さな鼻や口を私が押さえてしまったら・・・、このか弱い細い首をわたしが力を加えてしまったら・・・、この箸をこの子に突き立ててしまったら・・・、と恐ろしい想像が頭をよぎるようになってしまったんです。
そうしたい、ということではなくて、そんなことをしてしまったらどうなってしまうんだろう、こうなってしまうんだろうなという想像程度だったのですが、そんな想像をするようになってしまったこと自体、自分が怖くなってしまい、このときになって初めて、慌ててネットで「産後うつ」の情報を集めました。
わたしは完母の夢かなわず、でも完全にあきらめてしまうのは嫌だったので母乳とミルク両方をあげていました。母乳だけなら3時間おきの授乳も母乳を吸わせておむつ代えたら眠れる、2時間半とか2時間は眠れるのかなと想像しますが、まずわたしの場合は乳首が小さいためにシリコン製のおっぱいカバーを用意して、うまく角度を合わせないと子供が吸ってくれないために寝たまま授乳などはできず、さらに絞ったりさすったりしないと母乳が出ないので授乳に40分、すかさずミルクをあげられるように授乳の前にミルクを準備、しかも授乳の間に冷めるようにタイミング合わせ、そして子供は時間が長くて途中で疲れたり出の悪いおっぱいを吸うのを嫌がってしまうためそのあと吸い残された残乳を絞るのに30分、おっぱいカバーや哺乳瓶や搾乳機などの洗浄消毒に30分、子供をあやして寝かせるのに30分、するともう次の授乳までに50分しか残っていないというサイクル、この50分に洗濯や食事や育児日記などを書いたり雑用もあり通算しても1日2時間睡眠という日が続いていました。
もともと産後うつになりやすい人の傾向にあてはまっていたところに睡眠不足も加わり、症状もいくつかあてはまる・・・慌ててネットの情報を旦那さんに転送して自分が産後うつかもしれないと打ち明けました。
旦那さんはその週末から休みの日ごとに子供を半日実家に連れ出してわたしにひとりの時間を作ってくれることを習慣化してくれました。
わたしを気遣ってというより、やっと授かった可愛い子供を失いたくないの一心からだと思いますが、そこでぐっすり深い眠りに落ちることができた、自分のペースで家事をすることができた、所用を片づけることができた、これが一番大きな解決法だったと思います。
精神科にいくことは依然抵抗があったわたしですが、産後すぐに役所の子育て相談の方が勧めてくださったカウンセリングに定期的に通っており、そのカウンセラーの先生に気持ちや怖い想像のことを打ち明けたりすることで切羽詰まった気持ちがいつも救われました。やっぱりプロってすごいですね。友達や家族に話を聞いてもらうだけでも気が楽にはなっていましたが、プロのカウンセラーは聞いてくださるだけではなく答えをくれる感じなんですよね。
もし精神科に行っていたらたぶん産後うつの診断が出て薬も処方されていたかもしれませんが、わたしは家族の協力と役所の無料のカウンセリングでなんとか危機を乗り越えられたと思っています。
わたしのようにちょっと症状に心当たりがあっても病院にいくことには抵抗があると思う場合はそういった役所が設置しているカウンセリングや同じ悩みを持つママさんたちとの集まりに参加してみて自分だけではないとわかるだけでも少し気持ちが楽になるかもしれません、自分はまだ大丈夫、そんな状態ではないと不安を自分ひとりで打ち消さずにまずはそういうところをぜひ頼ってみることをお勧めしたいと思います!
高橋メアリージュンさんの演技力
最後に、またまた今回の第3話でも高橋メアリージュンさんの演技力がすごい!と感動してしまいました。一番その演技力が光ったのは終盤の産後うつの可能性を伝えられた診察室のシーンです。
メディカルソーシャルワーカー向井祥子役の江口のり子さんが、自分も子供を窓から放り出したくなった時があった、人に頼ることは悪い事ではないと高橋メアリージュンさんに諭すシーン、静かに目を見開いて驚いたり、自然にぽろぽろっと大粒の涙がこぼれてしまった瞬間に慌てて涙を隠すようなぬぐい方やふいに涙がこぼれてしまったことでちょっと言葉が詰まってしまう様子など、オーバーではない自然な演技でリアリティありすぎて涙を誘うんですよね。
そしてその診察室に赤ちゃんが連れてこられた時、初めてともいえる優しいまなざしで赤ちゃんを受け入れるんですよね、そしてしばらく離れていた我が子がその腕に戻ってきた時、退院以来この子とこんなに離れていたのは初めてと、改めて我が子を見つめて可愛い、、可愛いです、、と、そしてそのあとにぽろぽろと流れる涙。
よく見る、顔をわなわな震わせたり、顔を大きくゆがませて絞り出す涙の演技ではなく、勝手にぽろぽろと流れてしまう大粒の涙や彼女の細かい目線の動きとそれが物語る彼女の心情の表現力、あれは監督から細かく指示されたものではなく彼女の持った天性のものだと感じます。だって主役でもない高橋メアリージュンさんだけにあんなに細かく指示するはずないですもん。
そんな高橋メアリージュンさんを介抱したり赤ちゃんを愛でる彼女を見守る目が徐々に充血していく吉田羊さんの演技もさすがー!!と思いましたが、その素晴らしい演技を導き出したのも高橋メアリージュンさんの自然で本物の演技あってこそのものだとわたしは感じました。
高橋メアリージュンさん、もうコウノドリには登場しないのかな、前作の小栗旬さんみたいにあと1回くらい終盤に出てきてくれるかな。もう大ファンになってしまいました。彼女の今後の活躍が期待されます!!
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